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F1 2019開幕戦を終えて(メルセデスとフェラーリの差)

開幕戦は予選がメルセデスのハミルトン、ボッタスの順で1-2。フェラーリベッテルルクレールは3位と5位。
決勝レースではスタートで飛び出したボッタスがファステストラップも奪う完全勝利。
ベッテルの揺さぶりに付き合ったハミルトンはフェルスタッペンからの防御に追われ2位。3位にフェルスタッペン。
フェラーリ勢は4位にベッテル、5位にルクレールとなりました。

開幕前のテストでは順調にタイムを出していたフェラーリがまさかの失速。
まさか開幕した後になってまで、三味線を弾いているということはないはずです。
とは言いつつも、これがこのまま今シーズンの勢力図となるかというと、それもまた無い話。
というのも、開幕戦オーストラリアGPのサーキットであるアルバートパーク・サーキットは、普段はアルバートパークという公園の周回道路として使われている場所で、レース専用のサーキットではありません。
路面の状態も荒く、凸凹も多く、また最近のサーキットの傾向で必ずあるロングストレートもありません。

この後のレースは、バーレーン、上海、アゼルバイジャン、スペインと続きます。
スペインのカタロニアサーキットをF1の最も平均的なサーキットと考えると(そういう理由で開幕前のテストには使用されている。もちろん他にも理由はあるが)、バーレーンは砂漠地帯で路面の汚れたサーキット、上海は最もスペインに近いが低速と高速の要素が混ざったより複雑なサーキット、アゼルバイジャンは市街地で有りながら約1.5kmのロングストレートを持つ特殊コースと、特徴の異なるサーキットが続きます。

 

 既にレースから5日ほどが経過し、様々なフェラーリ失速の理由が挙げられています。

・ふたりの王者に挑み3位を掴んだマックスの力。謎の失速に陥ったフェラーリ今宮純のF1オーストラリアGP分析】
 https://www.as-web.jp/f1/463906

フェラーリのF1開幕戦惨敗に関する「5つの仮説」
 http://www.topnews.jp/2019/03/19/news/f1/179423.html

・開幕戦は“例外”になるはず……失速のフェラーリ、次戦での復活に自信
 https://jp.motorsport.com/f1/news/ferrari-australia-exception-true-potential/4355891/

 真っ先に注目すべき話は、二人のフェラーリドライバーは共に口を揃えて、「マシンバランスがテストで感じたそれとは違っていた」とコメントしていたという点。
 その場合の可能性は2点

  • 新たに持ち込んだアップデートが失敗
  • セッティングミス

 ここで、今年からフェラーリの代表となったマッティア・ビノットのコメントを見てみましょう。
 「メルボルンのコース条件は、確かにバルセロナと違う。バンピーで風も強く、気候条件も異なっている」
 「我々のマシンのパフォーマンスに影響を与えた外的要因は確かに存在する」
 「ただ、トト(ウルフ)が言ったように、我々は正しい“ウインドウ”を見つけることができなかった。ウインドウというのは言い換えると、マシンのバランスのことだ」
参考:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190320-00000010-msportcom-moto

 端的に言うと「セッティングを合わせられなかった」ということのようです。

 しかし、他のサーキットに行けばフェラーリバルセロナでの開幕前テストの速さを取り戻せるのかというと、それもまたわかりません。
 前述のように、アゼルバイジャンのような市街地サーキットも待っていますし、今回のような凸凹はなくともバーレーンのような砂の多い路面が汚れたサーキットではどうなのか、等々、様々な要因によって状況が変わります。
 F1の面白さは、世界中の様々なサーキットで各チームがどのような特色を出して戦いを繰り広げるのか、という点にもあります。

 その点、メルセデスは開幕前のテストから「マシンを理解する」ということを主眼に置いて、黙々とテストを行ってきました。
 これは何年も前から言われてきた、メルセデスのスタンスです。
 一方のフェラーリは、もちろんタイムを狙いにったということは無いのでしょうが、メルセデスほどマシンを理解するという明確な目標を持ってテストを行ってきたわけでは無いように思えます。

 もう一つの懸念は「正しい“ウインドウ”を見つけることができなかった」という言葉の指す範囲です。
 つまり、
・「(探せば見つけられるけど、定められた時間内に)正しい“ウインドウ”を見つけることができなかった」
・「(そもそもこのマシンの限界で今回のコンディションに合う)正しい“ウインドウ”を見つけることができなかった」
のか。
これは今シーズンを占う上で全く意味が変わってきます。

 エンジニアの凡ミスで誤った方向にセッティングを振ってしまい、日曜日まで修正しきれなかったのか。
 はたまた、非常にスイートスポットの狭いマシンなのかもしれません。後者の場合は非常に致命的で、今後も数戦に一度は今回のような”外れのレース”をする羽目に遭うということです。

 この回答は、次のベッテルのコメントにありました。
「今の問題は、昨年とは全く関係がない」と、ベッテルは語った。
「今年は、マシンの全ての数値などがまともだった」
「明らかに、僕たちは何かを見逃している。今のところ答えは出ていないけれど、何かが見つかると確信している」
「決勝だけでなく、週末を通して見たものよりも、マシンが優れているということを、僕たちは知っているんだ」

・参考:何かがおかしい……開幕戦で想定外の苦戦、フェラーリの混乱続く
 https://jp.motorsport.com/f1/news/australian-gp-flop-leaves-ferrari-confused/4355427/

 つまりは単なるセッティングミスでは無さそうだということです。

 

 そしてもう一つ気になるのは、1回目のタイヤ交換後(セカンドスティント)、ベッテルはC3ミディアム、ルクレールはC2ハードを履いたのですが、通常柔らかいミディアムの方が速いはずなのですが、結果的にハードタイヤを履いたルクレールの方が速かったのです。
 昨年のベッテルの不振を見ている方々には「単純にベッテルが遅いだけでは」と思われるかもしれませんが、共に同じ周を走った中古ソフトタイヤではベッテルの方が速かったのです(下記サイト参照)。

フェラーリは何故、突如オーストラリアGPで失速したのか?トロロッソ・ホンダにすら敗北したベッテル
 https://formula1-data.com/article/why-ferrari-stop-suddenly-aus-gp

 上記サイトによれば、ミディアムでのベッテルトロロッソよりも遅かったとのこと。
 ミディアムタイヤを履いたフェラーリは更に遅かったということです。

 現段階での結論としては「セッティングを合わせられなかった」以上の結論はでなさそうです。
 あとはこれからの様々なサーキットでのフェラーリの、SF90の調整力が問われることになるのでしょう。