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F1 2019R3 中国GP(1)~予選~

 「F1グランプリ」は、1950年5月13日に、イギリスのシルバーストーンサーキットで第1回が開催されました。
 それから70年近い時を経て、1000回目のレースがこの中国GPとなりました。
 現地では様々な1000回を記念して様々なイベントが催されたらしく、CSのテレビ中継も過去の貴重な映像が盛り込まれたりと特別なレースであることを印象づけるものでした。

 フリー走行はトップタイムがベッテル、ボッタス、ボッタスと続きました。
 ハミルトンはFP1でこそ0.2秒差の2番手タイムを出したものの、FP2、FP3とトップのボッタスに0.7秒、0.8秒の差を付けられる展開でした。

 予選に入ってもボッタスのペースは衰えず、Q1~Q3を1位、2位、1位でポールポジションを獲得。
 1000回目の記念すべきレースに名を残します。
 驚異だったのはハミルトン。
 Q1ではボッタスに0.5秒、2位のルクレールにも0.4秒の差を付けられて3位となるものの、Q2では敢えて2回のタイムアタックを行いトップタイム。そしてQ3でもボッタスには及ばないものの、0.033秒差まで詰め寄りました。
 フリー走行での不調がウソのようです。
 一方、オーストラリア、バーレーンとレースは落としたものの、速さは見せていたフェラーリ勢ですが、ここではメルセデスに全く手もでず、予選3位、4位となります。
 その後は、フェルスタッペン、ガスリー、リカルド、ヒュルケンベルグ、マグヌッセン、グロージャンと、レッドブルルノー、ハース勢がチーム毎に続きます。

注目はガスリー。実は3戦目にしてこのポジション。トップ3のシートを得ながらこの2戦は17位、13位と全く振るわなかったので、本人、関係者共々とりあえずホッとしていることでしょう。
フェルスタッペンとのタイム差が0.8秒もあるのは気がかりですが。

 

 さて、この予選、Q3最後のタイムアタックで一悶着ありました。
 Q3の残り時間が1分を切り、各車が最後のアタックに向かうアウトラップの最終セクターで、フェラーリベッテルルノーのリカルドとヒュルケンベルグが、レッドブルのフェルスタッペンとガスリーをオーバーテイク
 これによりフェルスタッペンは最後のタイムアタックに間に合いませんでした。
 ドライバー間の申し合わせで、タイムアタック前の最終セクターでは前車を抜かないようにとの話があったとのことで、セッション後、フェルスタッペンはこれに激怒し、バーレーンでも似たようなことがあったとのこともあり、ベッテル批判をコメントしました。

 しかし、これが全てベッテルが悪かったのかというとそうでもないようで、この最終アタックの集団の先頭にいたのはメルセデスの二人ですが、この二人のペースが異常に遅かったこと。
 ベッテルルノーの二人は、チームから時間切れのリスクを伝えられ、否応なしにペースを上げざるを得なかったと答えています。

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 まず「ドライバー間の申し合わせ」にどれくらいの強制力があったのかということです。
 この申し合わせを確実に守っていればベッテル、リカルド、ヒュルケンベルグタイムアタックを行えていなかった訳ですが、それを受け入れてでも守らなければいけないものだったのでしょうか。
 それほどの強制力があるのでしたら、最終アタックに向かう集団の先頭を走るクルマは圧倒的な優位を持つことになります。
 わざとゆっくり走って後続を抑えれば、ライバルは皆アタックできなくなる訳ですから(実際、今回はそれくらいメルセデス2台のペースが遅かったわけですが)。

 また、それほどまでに強い強制力を持つのでしたら明確に「ルール」として明文化されているべきです。
 そうでない以上、あくまでも努力目標であり、それ以外の要因(まさに今回のように時間切れになってしまう)で守ることが困難であれば、無理して守らなくても良いという解釈をしたのがベッテルルノー勢だったということでしょう。

 では、フェルスタッペンは、もっと早いタイミングでタイムアタックに出れば良かったのでは?と思われるかもしれませんが、後に走る方が有利なのです。
 特に今回の中国GPのように、F1以外ではあまり使われていないサーキットでは、タイヤのゴムが路面に張り付く”ラバーイン”という状態が、後になればなるほど進んでいきます。時間が経てばたつほどタイヤのグリップ力が高まるのです。
 ですので、どのチームも時間ギリギリまで遅らせてコースに出るのです。
 とはいえ、時間制限もありますから、そのギリギリのタイミングを見極めるのもチームの力量の一つであり、チーム間の駆け引きでもあります。


 その一方で。レッドブルがその申し合わせを意識していたのかというと、そうでも無いようで。
 「僕は15秒か20秒くらい残っていると思っていた。だから、前のマシンにただ従って走っていたんだ」
とのこと

jp.motorsport.com



ちなみに同じようにタイムアタックを行えなかったハースのコメントはこちら。
こちらの場合、単なるチーム側のミスのようですが。

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かつては1時間の予選セッションの中で、26台のマシンが同時にタイムアタックを行っていて、最後の数分で皆競ってタイムアタックをしていました。
それを思えば、今は10台。
GPSの進化もあり、状況把握も駆け引きもやりやすくなっていると思うのですけどね。
その一方で、各車間のタイム差は小さくなり、争いは激しくなっているという面もありますが。