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2019 SuperFormula 最終戦

レースは、ポールポジションから飛び出したアレックス・パロウが独走状態に入るかに思えた。
ミディアムタイヤでのペースはまずまずだったが、ソフトタイヤに変えた後、周回を重ねる毎のペースダウンが激しく、ポジションダウン。
このレースで勝てば、ラルフ・シューマッハー以来26年ぶりのデビューイヤーチャンピオンもあり得たが、2回目のピットストップも必要となり、チャンピオン争いからも脱落してしまった。

 

2位スタートの野尻智紀が変わってトップに立つ。
こちらはソフトタイヤスタートで引っ張って、残り10周でミディアムタイヤにチェンジ。
終始安定したペースを刻み、2014年のSUGO以来、5年ぶりの優勝。
チャンピオンを争うニック・キャシディを従えての優勝で、30歳となりベテランの域に入ってきたが、まだまだ衰えていないことを証明した。
このレースのボーナスポイントもあり、13ポイントを上乗せしてランキングも4位で今シーズンを終えることになった。

 

チャンピオンを争う山本尚貴ニック・キャシディは別戦略。
山本がミディアム→ソフト。キャシディがソフト→ミディアム。
山本はスタートで3位までポジションを上げると、セオリー通り、タイヤ交換義務の開始となる7周目にピットインし、ソフトに交換。
しかし、その後はイマイチペースが上がらず。
チームメイトの福住仁嶺にオーバーカットされてしまい、ペースダウンしたパロウのオーバーテイクにも手間取ってしまい、その福住を追い切れなかった。
キャシディは野尻の背後で安定したペースを刻み、こちらも残り約10周でピットイン。
2位のポジションをキープしてフィニッシュ。
山本が5位に終わったため、チャンピオンを決めた。

 

山本は、金曜日の出だしは良かったものの、そこからが伸びなかった。
シーズンを通しても、開幕から2位、2位、優勝と独走に見えたが、その後、雨の富士でノーポイントに終わったところから流れが悪くなった。
これまでも苦手な傾向のあるもてぎでもノーポイントに終わったのが痛かった。

 

一方のキャシディはより高いレベルで安定した結果を残した。
ノーポイントは、その山本と接触し順位を大きく落とし10位に終わった岡山の1戦のみ。
山本がノーポイントに終わった富士・もてぎで共に3位表彰台に上がったのが大きかった。
昨年も山本とは僅か1ポイント差の争いで敗れており、2年続けてこの二人は素晴しいチャンピオン争いを繰り広げてくれた。


忘れていけないのは小林可夢偉
このレースも晴天の中、まさかのレインタイヤスタートという奇策に出た。
(前戦でも、10周目以降の交換でなければタイヤ交換したとみなさないというルールを敢えて逆手に取り、1周目に交換。ミディアム-ソフト-ソフトという奇策に出ていた)
ただ、7周目に多くのドライバーがピットインすることが予想され、それまでにピットストップ分の遅れを取り戻すことは事実上不可能であり、セーフティーカーが出ることに掛けたギャンブル作戦であった。
結果は10位。
ただ、今回のレース以外でも戦略、そしてレースでの速さ、好バトルと、レースを盛り上げてくれたことは間違いない。

 

そして今シーズンを振り返ると、7戦で7人の優勝者が登場することになった。
開幕戦(鈴鹿):ニック・キャシディ
第2戦(オートポリス):関口雄飛
第3戦(SUGO):山本尚貴
第4戦(富士):アレックス・パロウ
第5戦(もてぎ):平川亮
第6戦(岡山):山下健太
終戦鈴鹿):野尻智紀

 

昨年からチャンピオンを争う山本、キャシディ、中堅の関口、野尻。
そして若手の平川、山下、そして新人のパロウ。
更にはこれに続く若手として、牧野、福住、そしてレッドブル育成のルーカス・アウアーらも加わり、ありとあらゆる立ち位置に居るドライバーが、同じ環境で好バトルを繰り広げるという、レースとしては最も好ましい展開になっていると思う。

来年もこのような面白いレース、面白いシーズンを期待したい。