TF-NETWORK

日々思うことをつらつらと書き綴る場所です。

ホンダと日産の合併・・意外とあり得るかも。

日産に走る激震

昨年から混乱続きの日産に更なる激震が走りました。

日産、ナンバー3関・副COOの退社発表
www.jiji.com

日産ナンバー3の関氏、辞任発表 社長含みで日本電産
www.asahi.com

カルロス・ゴーンが逮捕され、その後任となった西川社長も辞任。
その後継には53歳の内田誠氏が就任しますが、COOに三菱自動車COOだったアシュワニ・グプタ氏(49)、副COO(最高執行責任者)に関潤氏(58)と、3人がトロイカ体制でそれぞれの強みを活かし役割分担していくと言われていました。
そのうちの一人が就任1ヶ月も経たないうちに辞任ということです。

もはや、先行き全く不透明の日産。
このままでは、最悪ルノー傘下に入らざるを得ない展開も起こりえます。
日産という企業を維持する上では、そういう選択もあり得るのかもしれませんが、国内No2をホンダと競う日産をみすみす外資の手に下してしまうのは国家的損失になりかねません。

そこで、こんな話も上がってきているようです。

自動車業界で大型合併も 日産とホンダ統合に経産省が動く
www.nikkan-gendai.com

この話、先日のホンダ系部品会社三社が日立オートモティブシステムズに買収されることになった時も一部で話題になっていました。

日立・ホンダ、傘下の車部品4社合併へ-生き残りへ系列見直し
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-29/Q05S81DWLU6P01

もしホンダと日産が統合したら?
diamond.jp

ホンダと日産。
両社の成り立ちや、これまでの日本国内自動車メーカー2位の座を争う姿からは、この2社が合併するなどとはなかなか想像できません。
まさかそんなわけが、、、と一瞬思ったのですが、考えてみると意外と上手く噛み合ってしまうかもしれません。

意外と棲み分けできているラインナップ

両社の主要販売車種を見てみましょう。

クラス ホンダ 日産 評価
軽自動車 N-BOX DAYS ホンダの勝ち
コンパクト フィット ノート ★ホンダの勝ちだが日産も好調!
小型SUV ヴェゼル ジューク ジュークは日本販売中止予定
小型ミニバン フリード ホンダ不戦勝
小型セダン グレイス シルフィ 両方とも微妙・・・
ミニバン ステップワゴン セレナ ★両社好調!
セダン アコード ティアナ 両方とも微妙・・・
SUV CR-V エクストレイル 日産の勝ち
大型バン オデッセイ エルグランド/NV350 タイプ異なる
高級セダン レジェンド フーガ/スカイライン 日産の勝ち
高級スポーツ NSX GT-R/フェアレディZ クラスが異なる
EV クラリティ リーフ タイプ異なる

こう比べてみると、ホンダと日産で真っ向から戦っている車種は、★の付いている、マーケットの大きいフィットvsノートの小型車と、ミニバンのステップワゴンとセレナくらいではないでしょうか。
それ以外は主に小型車はホンダ、大型車は日産が強い傾向が見て取れます。

こう見ると、両社が合併しても販売戦略上、激しくバッティングすることはあまりないと思われます。
小型車がホンダ主体、大型車は日産主体。
大型でもホンダ車で実績のあるオデッセイは微妙かもしれませんが、フラッグシップカーであるNSXは継続開発していくことも可能ではないでしょうか。

「人」の気持ち・・・

そうなった時に気になるのは、人間の心理状態、特に社員の方々の心理です。
これまで長年に渡って販売台数2位の座を競ってきた両社。
開発や販売は前述のように、両社の強みを活かして棲み分けがある程度できたとしても、必ず重なり合う部分は出てきます。
その時に、ホンダが主導権を握れるのか。日産はそれに従えるのか。
そうなった時に、前向きに協力して成果を出すことが出来るのでしょうか。

一つだけ確実に言えるのは、どちらかが主導権を握らなければいけない、ということです。
某大手銀行のように、交替で社長を出すとか、出身会社毎に役員の数を揃えるなどということはしてはいけません。
その一方で、完全に自由な状態では、内部でも権力争いが発生しかねません。

このまま日産の混乱が続けば、ホンダが主、日産が従という形にならざるを得ないとは思いますが、ホンダも決して業績好調とは言えないところが難しいところです。

そして何よりも両社の社風の違い。
本田宗一郎というカリスマの元で成長してきたホンダ。
戦前の財閥を母体とし、様々な会社を吸収合併して大きくなってきた日産。
この二社がどういう形で融合するのか、そのイメージを持つのはなかなか難しいと思います。

日立製作所の役割

そこで登場するのが日立製作所
10月末、日立オートモティブシステムズがホンダ系の部品メーカ3社(ケーヒン、ショーワ、日信工業)を統合することとなりました。

「CASE」というキーワードの元、大きく変貌を遂げている自動車業界。
これまで「機械」が主体であった自動車業界に、電機とソフトウェアが関わってくることは間違いなく、トヨタはかなり以前からパナソニックとの関係を強めています。

元々日立製作所日産自動車の関係は近いところにあり、共に戦前に鮎川財閥と呼ばれた企業グループの一つで、同グループには日本石油(現:JXTGホールディングス)も含まれていました。
戦後は、日立、日産とも、旧安田財閥が主体となった芙蓉グループに含まれ、継続して近い関係にあったのです。

日産とそういう関係にあった日立がホンダとの関係を強化したというのは、これからの自動車業界の行方を想像した時に何らかの方向性を指し示していると思わずには居られません。
GoogleAmazonも自動車業界に関わり始めるこの時代に、日立グループの1企業がホンダという自動車メーカとの関わりを持って、1サプライヤーとして製品を供給する。それで話が終わるということがあり得るでしょうか。

日立グループにはネットワーク機器の製造や自動運転に関わるソフトウェアの開発を行う企業もありますし、小型発電機から発電所まで作る企業があります。
それらの企業が、何らかの関わりを持ってくるというのは自然のなりゆきではないでしょうか。
ホンダと日産の間に日立という企業が深く関わり合うことで、また新たなホンダと日産(+日立)の関係が出来上がりそうな気がします。