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2020年F1 第2戦シュタイヤーマルクGP

予選、ハミルトン驚異のスーパーラップ

第2戦は開幕戦と同じレッドブルリンクでの開催となります。
GP名称は同じ名前ではわからなくなってしまうので、シュタイヤーマルクGPとなっています。
シュタイヤーマルクは、レッドブルリンクがある地域名。
日本で言うと、鈴鹿での日本GPが三重GPになるようなものでしょうか。

先週の猛暑からは一転して、土曜日は雨となり、FP3は中止となってしまいましたが、予選は何とか開催されました。
そこそこ安定した雨量が続いたせいで大番狂わせはなく、ドライバーの力量が出るセッションとなりました。

まず特筆すべきはポールポジションを獲ったハミルトンの最後のアタック。
2位のフェルスタッペンは雨中の中、最後のアタックでミスしてしまったとは言え、1.2秒の差、チームメイトで4位になったボッタスには1.4秒の差を付ける圧倒的な速さ。
金曜日のFP1、2ではマシンが決まらず悩んでいたようですが、1日経つと一転この速さです。

3位にはマクラーレンサインツ
先週はノリスがこのポジションでしたが、コンディションが大幅に変わってもチームメイトが同等の速さを見せるという、マクラーレンのチーム全体としての調子の良さが表れてますね。

そしてもう一人速さを見せたのは5位のオコン。
チームメイトのリカルドを上回る速さを見せてきました。

ホンダ勢はアルボンが7位、そしてガスリーがQ3まで進出し、8位のタイムを出しました。クビアトは14位でQ2落ちです。
そしてフェラーリはまたしてもQ2で10位、11位となり(今回はルクレールがQ2落ち)、ベッテルはQ3も10位となりました。

また、もう一人の注目はウィリアムズのラッセル。
チームにとっては、2年ぶりのQ2進出。
今年のウィリアムズは昨年の圧倒的最下位から、着実に上位との差を縮めています。

一方、予想外に下位に沈んでしまったのがレーシングポイントのペレス。
まさかのQ1落ちで、17位でした。チームメイトのストロールも13位でQ2落ちしてしまいました。
チームとして、タイヤの温度設定を間違ったとか・・・。このあたり、まだチームとしてTop3との差を感じてしまいます。

決勝、フェラーリの悪夢再び

決勝は、今日も先週のような暑さは無く、気温は20度程度。
マシンへの負荷は大幅に軽減され、タイヤの持ち具合も変わってくると思われます。

ハミルトンが無難なスタート。その後ろも大きな順位の変動はなかったが、3コーナーで前を走るベッテルの背後からルクレールが追突。
ベッテルのリアウィングが脱落し、そのままリタイア・・・。
ルクレールもピットイン後、再走行するもフロアのダメージが大きくリタイア。

結果を残せなかっただけでは無く、予定を前倒しして急遽持ち込んだ新パーツの比較テストすらできないままレースを終えてしまうという、最悪の結果となりました。
これは、明らかにルクレールのミスでベッテルに突っ込んでいるのですが、先週のベッテルも似たような動きをしており、そういう焦りを生ませてしまうフェラーリのチーム状態の悪さが滲み出てしまっている感じがします。

露わになるメルセデスレッドブルの差

この後は、ハミルトン、フェルスタッペン、ボッタス、アルボンと、メルセデスレッドブルの上位争いとなるが、アルボンがこのペースについて行けず、フェルスタッペンはメルセデスの2台との攻防を余儀なくされます。

24周目、フェルスタッペンが早めのピットイン。
ハミルトンは27周目、ボッタスは、そのハミルトンの後にすぐ入ってしまうとフェルスタッペンにアンダーカットされてしまう可能性があったことから、タイミングを引っ張り、34周目にピットインしています。
今回は大半のドライバーがソフトタイヤからミディアムタイヤに交換。
フェルスタッペンは2位を維持したものの、このタイミングでピットインせざるを得なかった時点で既に劣勢に追い込まれていたと言えるでしょう。

レッドブルのデ・ジャ・ヴ

アルボンは完全に前の3台からは置いていかれ、ルノーのリカルド、そしてレーシングポイントの2台から攻勢を受けることになってしまいます。
このレッドブルの2台の差は、昨年前半のガスリーがレッドブルに乗っていた頃を思い出させます。

激しい中段争い

このアルボンを先頭とした4位争いが激しさを増してきます。
キーマンとなったのが予選で失敗したペレス。
ソフトタイヤでのスタートから第1スティントを引っ張り、38周目でピットイン。ミディアムタイヤで目一杯のアタックを続け、30周目時点では、4位以下、アルボン、サインツ、リカルド、ストロール、ペレス、ノリスの順。
38周目にペレス、39周目にノリスがピットインを終えると、アルボン、リカルド、ストロール、ペレス、サインツ、ノリスの順。

ペレスは、46周目にストロールオーバーテイクすると、48周目にはリカルドも抜いて5位に。更にはファステストラップを叩き出しながらアルボンとの差を詰めていきます。
一方、同じレーシングポイントのストロールはリカルドを抜くことができずに周回を重ねていきます。

好調マクラーレンの秘訣

レーシングポイント勢に前に出られてしまったマクラーレンは、早めのタイヤ交換でタイムが伸びなくなったサインツを62周目に譲らせ、ノリスを前に出します。
昨年のフェラーリのゴタゴタを見ていると驚いてしまうくらいのあっさりとしたチームオーダー
サインツはその後66周目にピットインで再びソフトに交換。ノリスはペースを上げ、リカルド・ストロールのバトルに追いつきます。
一方、タイヤ交換したサインツはソフトタイヤで渾身のラップを刻み、ファステストラップの1ポイントを持ち帰ります。

盤石のメルセデス

ピットストップを遅らせたボッタスは、早めのタイヤ交換でペースの上がらなくなってきたフェルスタッペンとの差を縮め、66周目には一旦4コーナーで追い抜くも、フェルスタッペンが粘りポジションキープ。
しかし、これはちょっとした両者の戯れだったようで、翌周にはボッタスが確実にオーバーテイク
これで、メルセデスが1-2体制を確立し、このままゴール。3位にフェルスタッペンが入ります。

昨年、ホンダと組んでの初優勝を遂げたこのサーキットでの開幕2連戦で、今年も勝利し(あわよくば2連勝し)、スタートダッシュを決めたかったレッドブルにとっては、苦しい出だしとなってしまいました。

ファイナルラップの波乱(2戦連続)

アルボンとペレスの4位争いは、残り2周というところで接触し、ペレスのフロントウィングが破損。大幅なペースダウンを迫られます。
アルボンはそのまま4位で無事にフィニッシュしますが、その後ろではまず同じ周の3コーナーでストロールがリカルドのインを突きオーバーラン、それに釣られてリカルドもコースを出てしまったところ、後続のノリスが二人のインに。
トロールは何とか抑えきったものの、翌周のバックストレートでオーバーテイクされ、ノリスが6位浮上。
更にはペースを落としていたペレスも抜いて、ノリスは5位フィニッシュ。
6位は大幅にペースを落としながらもポジションを守り切ったペレス、そこから1秒以内の僅かな差でストロールとリカルドが7位と8位。
9位には最後にソフトタイヤでファステストラップを出したサインツ。10位にはアルファタウリのクビアト。

開幕2戦を終えての考察

とにかくメルセデスが速い。
開幕では信頼性に不安を抱えたが、恐らく高温とレッドブルリンクの縁石よるもので、今後は大きな問題にはならなさそう。
かつ、やはりドライバーとしての力量差がハッキリと表れてしまっている。
イレギュラーな事態が頻発し、ハミルトンが精神的に崩れればボッタスにもチャンスはあるかもしれないが、、、そのようなことがない限りは、今のところはボッタスがランキング1位だが、シーズンを経ていく上でハミルトンに抜かれるだろう。

そして、中段勢ではレーシングポイントとマクラーレンが注目。
レーシングポイントは「ピンクメルセデス」と呼ばれているほど、昨年のメルセデスのマシンW10に似ており、開幕前のテストからその速さは際立っていたが、第2戦での予選のようにチームがオペレーションを間違わなければ間違いなく速いマシン。
あとは低速サーキットに行ったときの走りがどうなるか。
フェラーリは完全に失速しているようなので、レッドブルにどこまで迫れるか、というところが見所。

もう1チーム注目したいのがマクラーレン
2015年にホンダエンジンを搭載してから成績が下降していたが(下降の兆しはもっと前の2012年くらいから出ていたのだが)、2018年の大改革(*)から復調の兆しが見え、今年はその成果が表れる年となりそう。
とにかく、若い二人のドライバーとチームの関係性が良いのが端々から伝わってきて、見ているだけでも感じの良いチームになっている(2015年とは大違い)

(*)2018年、レーシングディレクターのエリック・ブーリエ、ジル・ド・フェランがスポーティングディレクターとして加入。
 アロンソ、バンドーンの2名のドライバーが離脱。
 更にはテクニカルディレクターとして元トロ・ロッソのジェームズ・キー(日本人には小林可夢偉が日本GPで表彰台に乗ったときのザウバーのテクニカルディレクターと言った方が通りが良いかも)、エンジニアリングディレクターにパット・フライが復帰、パフォーマンスディレクターにアンドレア・ステラが加入。
 そして2019年5月にはポルシェからアンドレアス・ザイドルがマネージングディレクターに就任と、トップの人事が大幅に入れ替わった
https://jp.motorsport.com/f1/news/stella-fry-key-to-mclaren-resurgence-say-team-chiefs/4516281/